女勇者ソープの受難(旅立ち)

風鴇能太


 村人たちとモンスターが闘っている激しい物音を聞きながら、ソープは地下室の中でいても立ってもいられない気持ちだった。両親が実はほんとうの父母でなかったこと、自分には何か特別な使命が与えられていること、モンスターの襲撃は自分を狙ってのものであること。一度に与えられた情報で混乱する頭と、村人の断末魔に引き裂かれる心。どんな使命なのか知らないけれど、多くの村人を犠牲にして、自分は隠れていていいのだろうか……。
 不意にシンシアが駆け込んできた。シンシアはモシャスを唱えた。シンシアは、ソープそっくりになった。しかし、身に着けていた物までは変化させられなかった。小柄なシンシアの服は破れてしまった。
「ソープ、あなたの服を貸してね」
 シンシアは、呆然としているソープの服を脱がせて、自分が着た。ソープの服はシミーズ1枚きりになってしまった。
「ソープ、さよなら」
 シンシアはジュネにすばやくキスすると、身を翻した。
「いたぞ、勇者だ!」
 闘いの物音がいちだんと激しくなった。肉の断ち切られる音、魔法の炸裂する音、悲鳴。そして――
「ピサロ様、勇者を討ち取りました」
 モンスターどもの歓声。再び攻撃魔法の爆発音が続く。村人の叫びは、もう聞こえなかった。そして、モンスターどもの引き揚げる足音と羽音。
 唐突におとずれた静寂に耐え切れなくなって、ソープは外へ出てみた。家のほとんどは跡形もなく破壊しつくされ、ところどころに焼け焦げた柱が残っているだけだった。村人の死骸は、どこにも見当たらなかった。ザオリクも効かないよう、完全に灰にされてしまったのだろう。
 奇跡的に焼け残った花畠に、シンシアの羽帽子落ちていた。ソープは、羽帽子を胸に抱いて泣いた。花畠の中に十字架を作って、そこへ羽帽子を掛けた。シンシアと両親と村人みんなの墓標だった。
 ソープは村を出た。もう、彼女を止める者はいなかった。どこへ行って何をすればよいのか、まるで分からない。手がかりは、ただひとつ。モンスターのボスらしい名前――ピサロだけだった。

 村を出たとたんに、ザコ敵に襲われた。強いモンスターどもは去っても、このあたりを縄張りにしているザコは残っているらしい。
 スライムが3匹現われた。
 スライムAの攻撃。ソープはダメージを受けた。
 ソープの攻撃。殴りつけた拳はスライムのぶよぶよした表面に押し戻されてしまった。
 ソープは逃げ出した。
 南へしばらく歩くと、樵の小屋があった。ダメージが回復するまで休ませてほしいと、ソープは樵にお願いした。
「下着1枚で森を歩くなんて、頭がおかしいんじゃねえか。俺はガキもキチガイもきらいなんだ。隣の部屋を貸してやるから、休んだらとっとと出て行きな」
 ソープはベッドに横たわってダメージを回復させた。部屋にはタンスが置いてあった。ソープはタンスを開けてみた。
「何をしているんだ?」
 開いたドアの向こうに、樵が怖い顔をして立っていた。
「あの……着替えを貸してもらえないかと思って」
「それなら、そう言えばいい。黙って他人のタンスを開けるのは、泥棒だぜ」
 樵が部屋へはいってきた。
「泥棒なら、それ相応に扱ってやらなくちゃな」
 樵は縄を持っていた。ソープの腕を背中にねじ上げて、手首を縛った。
「痛い……ごめんなさい。盗むつもりはなかったんです」
「捕まった泥棒は、皆そう言うぜ――ん?」
 樵はソープのシミーズを引きちぎった。
「きゃあっ!」
 ソープは逃げようとしたが、羽交い絞めにされてしまった。
「小便臭いガキだと思っていたが、膨らむところは膨らんでいるな。となれば、道具も使える頃合いかな」
 樵はショーツの中へ手を突っ込んだ。
「なにをする! やめろ!」
 気丈に叫んだソープだったが、指を入れられると、苦痛と嫌悪、そして恐怖に身体がすくんでしまった。
「いやっ、くうう……」
 肉芽をつままれると、得体の知れない衝撃が背筋を走った。
「感度も良さそうだな」
 ソープはベッドの上へ投げ出された。足を開いた姿でベッドに縛り付けられた。必死で抵抗したが、樵の腕っ節にかなうはずがなかった。
「泥棒には、たっぷりお仕置きしてやらなくちゃな。もっとも……」
 男所帯へ来て、いきなり休ませてくれなどという女は素人じゃあるまい。まともに抱いてもお仕置きにはならないかもしれないと、樵がうそぶく。
「違います。そんなつもりじゃなかったんです。わたし、村から出たことがなかったんで……世の中のこと、あまりよく知らなくて」
「それじゃ、俺がたっぷりと教えてやるさ」
 樵はショーツも引き裂いて、ソープを素っ裸にした。
「おや、可愛い顔して、こちらはもじゃもじゃか」
 シンシアと比べっこをしたことがあるが、年上のシンシアのほうが毛質も細く生え方も少なかった。以来、ソープは自分の陰毛にコンプレックスを抱いている。それをずばりと指摘されて、ソープは顔を真っ赤にした。
「ふむ。泥棒へのお仕置きにちょうどいい事を思いついたぞ」
 樵は部屋を出て行った。ソープは上体を起こして、後ろ手に縛られた手首の縄がほどこうともがいた。
 縄がゆるみかけたとき、樵が戻ってきた。火のついた松明と、水を張った手桶を持っていた。
「なんだ。縄をほどいてほしかったのか。それなら、そう言えばいいのに」
 樵は手首の縄をほどいてくれた。が、両手を左右に広げてベッドに縛りなおした。
「これなら、文句はないだろう」
 大ありだった。脇の下まで晒して、前よりも無防備になった気分だった。
「脇も手入れしてやらなくちゃいかんな」
 樵は松明を手に取ると、ソープの股間に近づけた。
「あ、熱い……何を……いやあっ! やめてええ!」
 股間を炎で焼かれて、ソープは絶叫した。陰毛の焼ける臭いがたちこめる。腰を振って逃れようとするソープを追って、樵は慎重に松明を動かした。直接押し付けず、炎の先端だけで陰毛を舐めていく。あっという間に、密林は禿山に変わってしまった。
「熱かったか。可愛そうに。冷やしてやるぞ」
 樵は松明を、手桶にひたしていたタオルに持ち替えた。タオルの端を持って、振りかぶる。
 ブンッ!
 水を吸って重くなったタオルが、ソープの股間に叩きつけられた。
「ひぎゃああっ!」
 ソープの絶叫と肉を打つ音が交錯する。股間にこびり付いていた燃え滓が水しぶきとともに飛び散る。
 最後の仕上げに、樵は股間を乱暴に拭いた。ソープは完全に陰毛を失い、何もかもが剥き出しになった。
 腋毛にも同じ処置がほどこされる。ソープは大の字にベッドに縛り付けられた身体をひくつかせるだけで、もはや泣き叫ぶ気力も失っていた。
 そうして、軽い火傷と打擲でまだらに赤く染まった処女の裸身に、本格的な陵辱が加えられる。
 割れ目に沿って中指を埋め込み、人差し指と薬指で両脇の肉片を挟む。中指で入口を掻き回しながら、2本の指で肉片を刺激する。ソープにとって、それは苦痛以外のなにものでもなかったが、刺激を受け続けるうちに、ヌチャヌチャと音がし始める。樵はソープの腰を持ち上げて、その中心に硬く聳え立った肉棒をあてがった。自分はベッドの上で中腰になったまま、ソープの腰をぐいと手前に引き寄せる。
「痛っ……」
 濡れタオルの打擲や指の弄虐に比べれば、喪失の痛みはたいしたことはなかった。女にされた感慨も、犯された屈辱も、ソープは感じていない。運命の大波に弄ばれて、ソープの自我はすでに崩壊しかけていた。
 樵はソープの中に放出すると、まだ硬いままのそれを口元に突きつけた。
「おまえが汚したんだ。綺麗にしてもらおうか。歯を立てるんじゃないぞ」
 ソープは言われるままに口を開けて、自分を犯したそれを受け入れた。精液のいがらっぽい味と、生臭い血の臭いが、口中を満たす。
 樵は満足すると、ソープをベッドに縛り付けたまま部屋を出て行った。
 ソープは疲労と心労に打ちひしがれて放心したまま、束の間の安らぎを求めて眠りにおちていった。

 翌朝。ソープは食事も与えられず、裸のまま小屋から追い出されかけた。
「着ていた服を返してください」
「あの破れたボロ布か。臭いんで燃やしてしまったぜ」
「では……」
 言いかけて、唇を噛む。意を決して、乙女として言ってはならない言葉を口にした。
「布切れ1枚でいいです。恵んでください。もし、お望みなら……好きにしてください」
「身体を売るってか。いよいよ、本物の商売女だな。あいにくだが、俺は商売女は嫌いだ」
 実のところ、樵はソープを簡単に手放すつもりはなかった。
「着る物がほしければ売ってやる。金を稼いでこい」
「…………」
 裸で町へ行って、乞食をするか身体を売れとでも言うのだろうか。
「モンスターをたおせば、やつらが貯めている小銭を分捕れる。棍棒を貸してやるから、頑張ってみな」
 ソープは棍棒を持たされて、小屋から放り出された。樵の言うとおりにするのは口惜しいが、他に金を稼ぐ方法はない。モンスターを探して、ソープは森の奥へはいって行った。
 スライムが1匹現われた。
 ソープの攻撃。スライムは一撃で倒れた。ソープはスライムの死骸を探って、2Gを見つけた。
「なかなかやるじゃねえか」
 背後から声をかけられて、ソープは身構えた。樵が見物していた。
「素っ裸の女がモンスター相手に闘うなんざ、そうそう見られるもんじゃねえ。楽しませてもらったぜ。さあ、もっと稼ぎな」
 見るんだったら見物料を払えなどと言い返せる逞しさはない。ソープはそっぽを向いた。恥ずかしさに頬が染まるのを感じたが、いまさらどうって事はないと自分に言い聞かせた。それよりも――初めての男に見守られている安心感さえあった。
 切り株お化けが現われた。
 ソープは攻撃したが、あまりダメージを与えられなかった。切り株お化けの攻撃。ソープは瀕死の重傷を負った。ソープは逃げ出した。樵はソープを庇った。樵の攻撃。斧が切り株お化けをまっ二つにした。切り株お化けは宝箱を持っていた。樵は薬草を手に入れた。
「薬草を10Gで売ってやってもいいが、足りないようだな。貸しにしておこうか」
 このままでは闘えない。ソープは、樵から薬草を借りた。樵はソープの傷口に薬草を塗りつけた。ついでに、昨夜ダメージを受けたままになっていた箇所にも、いやらしい手つきで薬草を塗り込んだ。
「あ……はぁ」
 ソープは、すこしだけ身悶えた。
 ソープは昼までに30G稼いだ。レベルが2になった。空腹で動けなくなって小屋へ戻った。借りていた薬草の代金を返して食事代を払うと、所持金はゼロになった。
「明日も素っ裸で闘うんだな。それにしても、おまえは弱っちいな」
 食事の後で、樵はソープを鍛えてやると言い出した。
 ソープは棍棒で立ち向かったが、素手の樵にかなわなかった。何度も叩き伏せられた。倒れたままでいると蹴りを入れられた。
「起き上がるまでモンスターは待っちゃくれないぞ」
 HPが1になるまで特訓が続いた。
 ベッドで休んでいると樵が来て、切り株お化けと闘ったときの助太刀のお礼が済んでいないと言った。
 ソープは身体でお礼をさせられた。

 次の日はレベルが上がってホイミを覚えたので、ダメージを回復しながら夕方まで闘った。稼ぎは100G以上になった。それでも、樵には勝てなかった。樵はその気になれば、一撃でソープに瀕死のダメージを与えることができた。
 夜になるとソープはナイフを与えられたが、それは武器として使うためではなかった。伸びかけていた陰毛を自分で剃らされた。それから、身体でお礼をさせられた。ホイミを使えるようになったご褒美だと言って、樵はソープのアヌスを奪った。
 3日目にはメラを覚えた。切り株お化けが3匹現われても、なんとかたおせるようになった。樵には、まだかなわなかった。メラを使えば一矢報いるくらいはできたかもしれないが、なぜか使う気になれなかった。
 その日はソープひとりで闘ったのだが、夜になると樵は当然のようにソープを抱いた。ソープも、自分から進んで身体を開いた。

 ――闘いのコツも、初めての男に仕込まれる性癖も、ソープは身体で覚えていった。LV6でベホイミを覚えたとき、樵はソープを解放した。さらにレベルが上がると復讐されるかもしれないと恐れてのことだったかもしれないが、ソープにそんなつもりはなかった。むしろ、ひとりで闘えるようになるまで保護してもらっていたという感謝の気持ちさえあった。
 ソープは稼いだ金で銅の剣と鎖帷子と革の盾を樵から買った。鎖帷子は素肌に装備するのだと教えられて、そのとおりにした。銅の剣を吊る幅広のバンドに装飾の布を太腿の上まで垂らしたので前は隠れた。革の盾を背負うと、尻も隠せた。しかし、乳房が鎖の目から透けて見えるのは、どうしようもなかった。そして、そんな姿を恥ずかしいと思う感覚は、とっくに消えていた。
 ピサロという名前だけを手がかりに、ソープは旅立つのだった。



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